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書きおこし(STARTUPS SELECTION® TOKYO特集)

【第22回】飲食業界に革命。寿司職人のいない高級寿司店。

2021.10.11

新進気鋭な若⼿スタートアップ起業家たちにスポットライトを当てる、ラジオ番組×雑誌×webメディアの連動プロジェクト「STARTUPS SELECTION® TOKYO」。第22回目ゲストは、株式会社クリエイティブプレイスの代表 中村 雄斗さん。コロナ禍で飲食店営業が厳しい中で、飲食店向けのアプリ開発やオンラインスクール事業など多角的なビジネスを新たに展開している。今回は飲食店運営のノウハウや新たなビジネスについてお話を聞かせていただいた。

▲YouTubeにも放送内容を上げております▲

株式会社クリエイティブプレイス 代表取締役 中村 雄斗さん

YAZAWA:本日のゲストは、『日本酒原価酒蔵』をはじめとする飲食店を運営、飲食店向けCRMツール事業などを行なっている株式会社クリエイティブプレイスの中村 雄斗さんです。 まず初めに具体的な事業内容を教えていただけますか?

中村 雄斗さん(以下、中村):2012年に創業しまして、和食の居酒屋からスタートしました。2018年に一部事業を売却して、今注力しているブランドが『日本酒原価酒蔵』で現在20店舗運営しています。
コロナ禍となった直近1年半は店舗アプリの開発、日本酒のブランディングを行う製造委託事業、飲食店向けのオンラインスクールなども行っています。多角的な事業に参画することで、コロナのような非常事態にも対応できる状況を作ろうと思って奮闘しています。

URUSHI:ピンチをチャンスに変えられているすごくいい例ですね。

中村:成果はまだまだこれからですけどね。 営業できなくなって暇じゃないですか。動かないと従業員も不安になるので、何かやらなきゃダメだなと走り始めた感じです。

YAZAWA:従業員の皆さんは業務内容が変わることに抵抗がなかったんですか?

中村:もともと数字の分析や企画などのマーケティングをやっていた社員が新規事業を行っているので、強みを活かして前向きに取り組んでくれています。 新しい取り組みだと、最近ミドルアッパー業態の高級寿司店もオープンしました。このお店は寿司職人を一切採用しないんですよ。

YAZAWA:寿司職人がいないとはどういう仕組みなんでしょうか?

中村:寿司職人の修行って「飯炊き何年」とか「握り何年」とかあるじゃないですか。 僕自身はそれを全く信じていなくて(笑)センスも必要ながら、結局は握る量に比例して質も上がると考えているので、握る回数さえ確保できればいいんじゃないかと。 また、お客様がどこに対して高級感を感じるのか、逆にどこに対して違和感を感じるのかを明確にすれば、職人なしでもやれるんじゃないかと思ったんです。むしろその仮説を証明するために「職人を採用しない」って決めてスタートしました。

YAZAWA:実際のお客様の反応はいかがでしたか?

中村:みんな握り初めて3ヶ月くらいですが、気づくお客様はいないですね。

YAZAWA:そうなんですね!中村さん自身も食べてみてもわからない…?

中村:全然わからないです。僕も初めに自分で握ってみたんですよ。家でご飯を炊いて、酢飯を作って、YouTubeを見ながら握る練習をしたんですけど、これは絶対にやっていけると確信しました。

YAZAWA:なるほど。「高級寿司=寿司職人が握る」という概念が覆りますね。

中村:もちろん職人じゃないとできないこともあるんですよ。やっぱり職人の技術や経験が必要な部分もある。でも、そこが気づくかどうか、お客様に価値を与えているかはまた別です。 今はまだ20時までの時短営業なんですけど、昨日は1日の売上が30万円を超えたんですよね。これは今後爆発する匂いがします。(※2021年7月撮影時点)

YAZAWA:これからが楽しみですね。予約が取れなくなる前に食べに行きます。

 

リピーター集客に目を向けたきっかけ

YAZAWA:中村さんは大手航空会社を退職後に飲食ビジネスで独立されていますが、オープン初月で700万円の売上を出されたそうですね。 どうやったら初月からそんなに売上をあげられるんですか?

中村:営業力のみですね(笑)
当社の創業メンバーは、大学時代に居酒屋のキャッチをやっていたので、店のクオリティに関係なく、人さえいれば集客できるっていう自信がありました。 ただ、当時の店のクオリティはめちゃくちゃ低くてリピーターは全然いなかったです(笑)

YAZAWA:オープン後の集客からリピート顧客獲得へ視点が切り替わったタイミングってありますか?

中村:食べログとぐるなびのリニューアルがあった2014年の8月頃ですね。 その時期にアルゴリズムが変わって、それまでのWEB集客が全く効かなくなったんですよ。当時は6店舗くらい運営していたのですが、キャッチとweb集客に頼った形で売上をあげていたので、そこで信じられないくらい売上が落ちました。 1店舗当たり売上集計で500万円くらいあったのが、50万円とか100万円になっちゃって。

YAZAWA:売上に深刻な影響が出たんですね。

中村:そうなんです。ただ最初に売上を出すという状況を作れていたことで、リピーターがつく店作りのための猶予が与えられたのは良かったですね。資金の余裕がないと改善もできませんから。 今まで見て見ぬふりをしていた「リピーターが全然いない」という状況が浮き彫りになったことで、本当にリピーターがつく店作りをやろうと考えて生まれたのが『日本酒原価酒蔵』です。その後は順調にリピーターを増やすことができました。

YAZAWA:中村さんが考えるリピーター獲得に必要なことって何ですか?

中村:2つあって、1つは「顧客満足度」、もう1つは「再認知からの再集客」。 僕らはアプリなどを活用して、徹底的にアンケートを取得して顧客満足度を追及してきました。さらにアプリ内にいるお客様に対して再認知をかけ続ける。そうすることで、新規集客からリピート集客のフェーズに移行していけました。 その時のノウハウを活かして最近リリースしたのが『リピつく』という自社のCRMアプリになります。

YAZAWA:私も飲食ビジネスの経験がありますが、飲食業界で顧客管理ができるツールって本当に少ないですよね。一括で管理できなくて苦労した経験があるので、そこを根本解決できるのは有難いなと思います。

中村:飲食業界に最適化したアプリはこれまでないですね。 店舗アプリの制作会社って飲食店を運営したことがないんで、どうしても抜け漏れや使いにくい点があるんですが、僕らは実際に運用してきたから抜け漏れなくサポートできる仕様になっていると自負しています。 『リピつく』は初期設定するだけで自動的にアンケートが集まるし、各店舗の厳しいチェックも全部できる形になっているので、これだけで楽に管理ができます。

YAZAWA:まさに痒いところに手が届くサービスなんですね!
現在どのくらいの店舗で導入されているんですか?

中村:リリースしたのが今年の3~4月頃で、もうすぐ100店舗くらいになります。(※2021年7月撮影時点)

YAZAWA:スピード感もすごいですが、飲食店という特殊な業態でSaaS・サブスク型ビジネスに展開できる中村さんの力量が流石だなと感じます。

中村:スタッフに恵まれたおかげですね。 あとは店舗を運営していく中で、できる限り全部数字に落とし込んで2~3年積み上げてきたので、その経験を持って勝算があると判断できました。

URUSHI:お話を伺っていると、飲食店でありながらマーケティング会社でもあるんですね。

 

売上増だけどコストも?デリバリー参画の難しさ

YAZAWA:最近はデリバリーの需要もあると思いますが、デリバリーに中村さんのノウハウって活かせたりしますか?

中村:デリバリーは利益が出ないのでおすすめしないです。 デリバリーで儲かるのはプラットフォーム事業者とデリバリーのFCみたいなのをやっていて食材から中抜きするところだけ。直営事業で店舗運営をする場合はほとんど利益が出ない。デリバリーの売上トップ10のうち9つはもともとテイクアウトでやっていたお店なんです。

YAZAWA:飲食業界って粗利率が低いので、そこでデリバリーもやるとコストがかかり過ぎるイメージはありますね。

中村:おっしゃる通りです。 当社もコロナ禍になってデリバリーを8業態で作ったんですけど、人件費が必ず増えました。キッチンという資産を使って、人件費を増やさずに売上増になるんだったら良かったんですけど1.5倍くらいに増加。どこまで考えても人件費増をゼロにできなかったので、3か月で辞める決断をしました。

YAZAWA:さすが決断が早い!撤退ラインは重要ですね。

 

『採用すべき人材』と『排除すべき人材』の見極め

YAZAWA:店舗拡大に伴って人材採用も必要になってくるかと思うのですが、優秀な人材を採っていくために工夫していることってありますか?

中村:1つ決めているのが、周囲に悪い影響を与える人は排除するということです。 和食店時代はスタッフを怒鳴ったりと感情をコントロールできない職人が多くてすごく嫌でした。その技術とか経験で店が成り立っている部分もあったのですが、ある時本当に嫌気がさしまして。営業できなくなる覚悟で「態度を改めないなら入れ替える」と言い渡したんです。同時に新しい給与基準を作って、透明感のある評価制度を作りました。

YAZAWA:人事改革を行った時期があったんですね。 その後どう変わったんでしょうか?

中村:問題があった職人達は評価されないのがわかるので辞めました。そうすると「社員になりたい」という人がアルバイトから入ってくるようになったんです。 結局営業できなくなる事態にはならなくて、逆にいい組織に生まれ変わっていきました。 その後新卒採用も始めたのですが、新卒はこちらの考えや意思をそのまま引き継いてくれるのでミスマッチがなく、年間1~2人しか辞めないですね。

YAZAWA:飲食・サービス業の離職率って大体50%くらいなので、圧倒的な離職率の低さですね。

中村:飲食店ってお客様に接するキーパーソンがアルバイトなので、アルバイトが楽しく働けることが必須なんです。正直アルバイトからすると、店なんてどこでもいいじゃないですか。人間関係が楽しければ続けて、楽しくなければ辞めます。 1人でも怒鳴ったり怒ったりする人がいると若い子たちが楽しいはずないですよね。そもそも怒っても信頼関係がなければ全く伝わらないので意味がない。だから人間関係の和を乱す人は徹底的に排除します。

 

他店のチェックポイント。再来店に最も相関する指標は〇〇

YAZAWA:中村さんが他店に行ったときにチェックするポイントってありますか?

中村:それで言うと、僕はトータルの時間を見ます。 店でも「飲食店は料理を売っているんじゃなくて時間を売っている」みたいな話をするんですが、過ごす時間と対価のバランスを見ていますね。

YAZAWA:なるほど。それは今までになかった視点です。 確かに、料理だけでなく、内装や全体の雰囲気、客層とか全ての要素が作る空間が価値になりますもんね。

中村:そうですね。その空間で過ごす時間に価格が見合っていればリピート率は落ちません。
例えば、『日本酒原価酒蔵』は居酒屋なんで単価は3,500円くらい。アンケートには「席間隔が狭い」ってたまに書かれることがあるんですが、リピート率が落ちていなければ問題ないと見なします。

YAZAWA:全てのお客様の声が正しく売上に反映される訳ではないということですね。

中村:はい。あと、リピート率に加えて、どの指標が1番再来店に相関するかも見ています。よく言われる指標が「人に紹介したいかどうか」なんですが、当社のアンケートで1番相関していたのは「スタッフの名前が書かれること」だったんです。

YAZAWA:それは私もわかります。いい接客してもらったらつい名前を確認しちゃいます。

中村:それがわかってからは、最重要KPIのところに「いいスタッフの名前を書かせる」っていうのがあります。

YAZAWA:従業員の皆さんのモチベーションにも繋がるからいいですね。
残念ながら、そろそろお別れの時間になってしまいました。お話の続きはぜひ中村さんのYouTubeをチェックしてみてください!

中村:飲食店経営のノウハウをいろいろとアップしているので、ぜひ覗いてみてください。

-本日はどうもありがとうございました。

 

「STARTUPS SELECTION® TOKYO」第22回目放送
YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=gCD14F3TVEQ

ゲスト
■中村 雄斗(なかむら ゆうと)
株式会社クリエイティブプレイス 代表取締役。
1987年宮城県仙台生まれ。日本大学、経済学部卒。大手航空会社へ入社後、24歳で独立。現在は飲食店を20店舗以上経営しながら飲食店向けアプリの開発や、日本酒ブランドの開発も手がける。

パーソナリティ
■YAZAWA(やざわ)
2018年にオンライン秘書サービス「nene」をメイン事業とした会社を創業。2020年に株式会社Wizへ事業売却し、子会社として株式会社neneを設立。代表取締役としてサービス拡大に従事したのち、現在は株式会社neneのCCOとしてPR部門を担当している。

■URUSHI(うるし)
株式会社OKPR 代表取締役。2016年に「OKPR」を創業後、2020年にM&Aにて株式会社VOYAGE GROUP(CARTA HOLDINGS)入りする。情報経営イノベーション専門職大学の客員教員や、東京都やEY新日本監査法人が主催するプログラムにおいてメンターも務める。課外活動として「サムライ広報会」も主宰中。

日本酒原価酒蔵
https://sake-genkabar.com/
日本酒原価酒蔵は「日本酒って楽しいを世界へ」を理念として開店した”日本酒を原価で提供している居酒屋”です。2016年OPENから20店舗まで展開。

リピつく
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